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親知らず手前の歯 横からむし歯 神経を抜きたくない

親知らずの手前の歯が横からむし歯になってしまう患者様を多く拝見しております。
親知らずを抜歯後、手間の歯の治療に臨む際、むし歯が深くまで進行していることが多く、その際は「神経を抜く、神経を取る、根管治療」を説明されることが多いようです。

以下にご相談内容は非常に多く頂きます。
その中から1症例のご相談を供覧させていただきます。ぜひご参考くださいますようお願い致します。

ご相談内容

4月に左下の親知らずを抜歯しました。親知らずの手前の歯が横から虫歯となっているのが原因です。その後、5月4日に虫歯の治療として歯を削ったのですが、神経まで達しているとのことで神経を抜くことを勧めれておりますが、神経を抜きたくありません。現在は、セメントでふたをしている状態で、一週間ほど様子をみて痛みがなければ、一部セメントを残して詰め物をしようといわれております。ただ、現在の歯科医の方は神経を抜くことを勧められております。現在は、激痛ではないのですが、痛みがあり左こめかみが痛いです。神経を抜かずにどうにか治療できないかと重い相談させていただいております。よろしくお願いいたします。(原文そのまま)

はじめまして。宮崎歯科医院の宮崎と申します。よろしくお願いいたします。

ご相談頂きました内容に回答させていただきます。詳細なる病歴と症状のご説明をありがとうございます。頂きました内容より推察させて頂き回答させて頂きます。

実際に拝見していないことから、推断の域となりますことをご理解いただき、以下ご参考くださいますようお願い致します。

まずは、患者様と同様の『親知らず抜歯後、親知らず手前の歯が横からむし歯になった症例』を、当院にて「神経を残す治療」施した3例を以下に供覧させて頂きます。ご参考になるかもしれません。

① 右下親知らず抜歯後のMTA直接覆髄法
https://miyazaki-dentalclinic.com/22691

② 左下親知らず抜歯後の部分断髄法について
https://miyazaki-dentalclinic.com/23456

③ 右下親知らず抜歯後のMTA直接覆髄法(直接覆髄法の実際の様子)
https://miyazaki-dentalclinic.com/22985

③のあと、インレー装着ついて
https://miyazaki-dentalclinic.com/23587

上3症例は、初診診査時、施術時共に痛みなどの症状はありませんでしたが、患者様には、痛みがあるとのこと。どの程度の痛みがあるのか心配です。

現在の症状を判断基準に、「神経が残せるか否か?」をチェックする方法を以下に詳しく書かせていただいております。ご自身の症状を比べて頂き、ご参考くだされば幸いです。
https://miyazaki-dentalclinic.com/22012

神経を残せるか否か?現在の症状からチェックするにはこちらをご参照ください。https://miyazaki-dentalclinic.com/23730

患者様とは部位が異なりますが、同様の治療と説明を前医より受け、当院にご相談された患者様がいらっしゃいます。その患者様への回答についてはこちらをご参照ください。参考になる内容と思われます。
https://miyazaki-dentalclinic.com/23674


上記参考リンクサイトの内容は、重複する内容もございますが、ご参考くださいますようお願い致します。

左こめかみの痛みは、「かみしめ」などが原因していることがあり、現在の歯の痛みとは関連がないこともございます。精査した上で治療に臨みたいですね。

現在抱えていらっしゃる症状が、以下のようであれば「神経を残せる」可能性が高まります。

・なにもしていない時は痛みはない
・冷たいもの・温かいもので継続した痛みがない。あっても一瞬。
・いままで、鎮痛剤を服用しなければならないような痛みは無かった。

また、神経を残す治療を施すためには、以下の3点が不可欠でしょう。
・ラバーダムによる治療中の唾液の侵入を予防する配慮。
・マイクロスコープによる精査。
・治療後は適合の良い精密なる補綴。

精密なる補綴(削った後を精密に補うことを云います)についてはこちらをご参照下さい。https://miyazaki-dentalclinic.com/23089

 

神経を残したいと切に願い当院を紹介、あるいは受診される患者様が多くいらっしゃいます。その中では、神経の炎症が酷く(=不可逆性歯髄炎といいます)、神経も死んでしまっている(=歯髄壊死)こともしばしばです。

当院でおこなっている「神経を残す治療」の症例をまとめています。以下をご参照ください。https://miyazaki-dentalclinic.com/22909

むし歯は、唾液中に存在する細菌の感染症です。しっかりと取り除けば治ります。また取り除かなれば治ることもなく、感染を拡大させてしまいます。たとえ「神経を抜く治療(=根管治療)」を行ったとしても、適切に行えば、歯の寿命を永くすることができるでしょう。

回答は以上となります。ご参考になれば幸いです。
お大事になさってください。  (宮崎)

初診の患者様へ
当院に来院される際は、必ず以下のリンクをお読みください。
https://miyazaki-dentalclinic.com/22254

上記の内容でご来院、ご相談される患者様がとても多くいらっしゃいます。
当院のホームページをご参考くだされば、治療に対する不安は解消されることでしょう。
ただ、その膨大なる内容をお読みいただき、理解するのも非常に困難を極めるようです。

当院では、初診の際、原則として、治療を行いません。歯科衛生士が丁寧に問診と診査・必要な治療のご説明を行います。ご来院いただき、ご相談くだされば、ホームページを読んだり、ネットサーフィンをする必要もなくなるでしょう。お困りの際はご相談ください。

当院では時間をしっかりと頂き治療に臨みます。
当院へ来ていただける患者様のお時間を大切にするためにも、理由の如何に関わらず、キャンセルを繰り返す方はお断わりさせていただきます。あらかじめ切にご理解・ご協力くださいますようお願い致します。

 

 

 

歯の神経 取りたくない (症状 チェック項目)


むし歯が深く進行していることが分かった時、歯の神経(=歯髄)を取るべきか否かの決断を迫られることがあります。

「むし歯が深かったので、次回は神経を取る(根管治療)治療が必要です」
「(治療後に)これで痛みがでるようであれば、神経の治療が必要です」

こんな説明を歯科医から受けたことがあるのではないでしょうか?

むし歯は唾液中に存在する細菌の感染症です。むし歯治療の目的は、感染した細菌を取り除くことです。放置すると感染が拡大してしまうからです。

歯の神経を取る(=根管治療)ときは、歯に2つの病状があるからです。

歯の内部深くに侵攻した細菌の感染により、

① 神経が炎症を起こし、元には戻らない状態となっている

② すでに神経は死んでしまっている

①を「不可逆性歯髄炎」
②を「歯髄壊死」
といいます。

この2つと、一時的な歯髄炎(可逆性歯髄炎⇒治療で元に戻る)を見分けることが術前に必要となります。

これにはいくつかの簡単なチェック項目があります。

〇 冷たいものや温かいものや食事などの”刺激”の後に、数分から数時間継続する痛みがある。
〇 たたくと痛む、かむと痛む
〇 レントゲンで、歯根周囲が黒く写っている
〇 温度変化に反応がなく、電気的な刺激を加えても反応がない

上記の症状を伴う歯に対して、「神経を残す治療」を行っても効果はありません。
更なる感染拡大を予防すべく、適切な根管治療が必要です。

逆にいえば、上記の症状ではない場合、

〇 1分以内の軽い痛み
〇 かんでも痛みはない
〇 温度、電気に反応する

などの症状であれば、神経を残す治療が可能ということになります。

このような症例では、適切にむし歯を取り去れば、症状は嘘のように改善します。

 

 

 

マイクロスコープ精密歯科治療 オールセラミックスインレー

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上動画は、当院で行った下顎第1大臼歯(下奥から2番目)のむし歯治療です。

痛みはありませんが、以前に詰めたコンポジットレジン樹脂が欠けて当院を紹介受診されました。

ひとつ奥の歯との間もむし歯となっている深いむし歯治療ですが、歯の神経に至るむし歯ではありませんでした。

マイクロスコープで診ながら歯を削り、形を整え、シリコンで精密に型どりを行い、オールセラミックスインレーを装着するたまでの全体の流れを動画でわかりやすく説明しております。

当院では治療前後の状況を記録するだけでなく、治療中の動画を記録し、治療後に患者様に説明させていただいております。

歯科治療にご不安を抱えていらっしゃる患者様には安心して受診していただける体制が整っています。上動画をご覧いただき、参考にして頂ければ幸いです。

イクロスコープを使用することで、患者様にとってわかり易い治療になるばかりでなく、安心確実なる歯科治療が実現できることが、この動画より見て頂けるでしょう。

当院では、根管治療神経を残す治療に限らず、すべての治療の場面でマイクロスコープを使用しています。

一生に一度の歯科治療・やり直しのない歯科治療を目指し、日々精進です。

 

 

 

 

 

歯の神経を取る 抜く 根管治療の理由

根管治療 むし歯が神経に達している 根っこの治療 神経の治療 歯内療法 マイクロスコープ  CT ラバーダム 症例 専門医 関東近郊東京都内港区千代田区虎ノ門新橋内幸町霞ヶ関汐留日比谷神谷町銀座 

ズキズキする痛みを主訴に来院された患者様。上顎の第一大臼歯。
その歯には銀合金の詰め物(インレー)が装着されていました。

上動画は、その治療の様子です。


むし歯は唾液中に存在する細菌の感染症です。

根管治療が必要な場合は、以下の2つの状況の場合です。
不可逆性歯髄炎
② 歯髄壊死

① 不可逆性歯髄炎とは、むし歯(=細菌感染)が歯の内部深くにまで進行し、その感染により、神経(=歯髄)に強い炎症が認められ、その強い炎症がゆえに、炎症が治まらない場合をいいます。

② ①の状態が進行し、神経が壊死(死んでしまう)した状態を云います。

本症例は、①に該当します。

本症例では、マイクロスコープで神経(=歯髄)の状態を観察すると、歯髄から排膿が認められました。

また、可逆性の歯髄炎(⇒神経を残せる状態)であるか否かを診断する方法として、「NaOCL溶液(次亜塩素酸)を露髄面に5~10分間接触せて、止血できるかに基づいた方法が信頼性が高い(Matsuoら1996、Bogenら2008)」方法を適用しましたが、止血することはありませんでした。

神経は残せるのであれば絶対の残した方がいいでしょう。
従来の考え方である「露髄したら神経は取らなくてはならない」は、昔の考え方です。
上記のように、科学的根拠に基づいた症状からの推断とマイクロスコープによる実際の神経の病状を精査した上で、神経を取るか否かを決断すべきでしょう。

本症例では残念ではありますが、根管治療(神経の治療、根っこの治療)が、これ以上感染を拡げないためにも、適切な治療法となります。

根管治療を受けた歯(=神経の治療・根っこの治療を受けた歯、失活歯)は、その強度が経時的に脆く・弱くなります。その根拠を示す文献が以下の通りです。

〇 根管治療を受けた無髄歯(=歯の神経を取った歯)は、咬合力を感知する受容センサーが反応するまでに有髄歯と比べて2.5倍の咬合力が必要とされる(Randow & Glantz 1986 Stanley 1989)。
つまり、無髄歯に咬合力(=噛む力)が加わって受容センサーが反応した時は、すでに大きな咬合力が加わってしまった後になるということ。

〇根管治療を受けた歯は、歯を保護する機能が低下しているので、歯冠および歯根破折の頻度が高くなる可能性がある(Fussら2001、Lertchirakarnら2003、Mirekuら2010)


このような科学的根拠に基づく文献があることからも、根管治療(神経の治療、根っこの治療、歯内療法)はできれば避けたい治療です。

そのためにも、定期的に歯科医院を受診して、むし歯は早期に治療することをおすすめします。また、可能であれば、「神経を残す治療」を行うことが重要です。

 

 

 

 

GW 休診のご案内


4月29日(月)から5月6日(月)まで、祝祭日を含めて休診とさせていただきます。

通院中の患者様におかれましては、お困りのことなどございますときは、当院ホームページ問い合わせ画面よりご連絡くださいますようお願い致します。

 

 

歯ぐきが腫れて痛い 再根管治療 歯を削らないセラミック

歯が脆くなる弱くなる どうすればいいか 根管治療 むし歯が神経に達している 根っこの治療 神経の治療 歯内療法 マイクロスコープ  CT ラバーダム 症例 専門医 関東近郊東京都内港区千代田区虎ノ門新橋内幸町霞ヶ関汐留日比谷神谷町銀座 

10年以上前に神経の治療(根っこの治療、根管治療)をした歯が痛み来院された患者様の再根管治療の1症例です。部位は下顎第一大臼歯(下奥歯)です。

上動画はその治療の様子を動画でご説明しています。
内容は、初回の根管治療と根管充填後の精密な型どり(シリコン)、その後セラミックポストアンレーを装着した様子です。

むし歯は唾液中に存在する細菌の感染症です。根管治療では、ラバーダムを装着して治療することで、患歯への治療中の唾液の流入を予防し、治療中の唾液感染を防ぎます。

本症例は4根管の再根管治療です。
以前は10年以上前に他院にて根管治療を受けた本症例。ラバーダムを装着せずに肉眼で治療していることもあり、治療は不十分とならざる得ない状況だったようです。

当院にて2回の根管治療を行い、その後、精密に型どりをし、セラミックにて人工歯を装着しました。

すべての施術をマイクロスコープを用いておこなうことの利点として2つ挙げられます。
① 徹底したむし歯(細菌感染)の除去
② 精密な人工歯の製作

①の細菌感染の徹底除去は、肉眼では困難です。
②の精密なる人工歯の製作には、精密に歯を削り形を整えること、そしてそれが出来ているか否かを確認すること、これにはマイクロスコープが不可欠となります。

マイクロスコープを使用したやり直しのない、一生に一度の歯科治療。
当院の目標であり、日々実践している当院の臨床です。

 

 

樋状根 MTA 根管充填 歯を抜かない (都内港区内幸町新橋虎ノ門日比谷霞ヶ関歯科歯医者)


上動画は、下顎第2大臼歯の変形根管「樋状根」のMTAによる根管充填とファイバーコアの型どりについてです。

本症例の1回目 再根管治療の様子については右リンクをクリックご参照ください。

むし歯は唾液中に存在する細菌の感染症です。本症例は下顎の最後方の奥歯。ただ治療すると、治療中に歯の内部に唾液が混入してしまいます。従来の、または大半の歯科医院では、なにも対策を取らずに根管治療をしているかと思います。

当院では、当院で行う根管治療すべての症例でラバーダムを装着して根管治療に臨みます。

樋状根は、3つの根管が癒合した変形根管です。上画像は治療中のマイクロスコープ動画画像の切り取りです。

当院では上動画のように、治療前・治療中・治療後の様子をマイクロスコープで動画で記録し、治療後の患者様へのご説明や本ブログ、また後進の歯科医師の先生方への指導に使わせていただいております。

3つの根管のうち、1つの根管の先端は壊れており、また、その側面には穴(穿孔、パーフォレーション)が認められました。レントゲン画像での炎症所見の原因は、適切な根管治療が為されていないことに加え、この穿孔が原因と推察されます。

このような状態は、ステンレススチール製のファイルが適切に使用されないと、強度の湾曲した本症例のような根管では、その側面に人工的な穴が開いてしまいます。ラバーダムを装着せずにこのような施術をが行われると、その部位が感染し、本症例のような結果となってしまいます。

このような症例では、ガッタパーチャとBCシーラー(MTA系)を用いた通常の根管充填と合わせて、穿孔部を封鎖しつつ、菲薄化(薄くなってしまった歯)した歯質の強度を補い、なおかつ壊れた歯根尖の封鎖を行えるMTA材料を用いることでその歯の寿命を永くすることできるようになります。これにはラバーダム+マイクロスコープは不可欠といえるでしょう。